週末に連休をとったにも関わらず、日々の仕事の疲れで1日目を無駄に終えようとしているある日の夕方。
このままではいけないと思い立ち、日帰りでどこかの山に登ろうと考え、比較的近場な八ヶ岳の天狗岳に登ってみることにした。急いで荷物をパッキングし、スタート地点である唐沢鉱泉そばの無料駐車場に深夜着くらいの時間設定で自宅を出発した。
24時少し前に唐沢鉱泉の手前にある無料駐車場に到着した。車はまだ数台停まっているだけだった。
コンビニで買っておいたビールを飲み干し、シートを倒して眠りについた。
翌朝4時過ぎに起床。
唐沢鉱泉から左回りで西天狗岳を目指して出発
出発の準備を整え5時少し前に唐沢鉱泉を出発した。
今回の登山は西天狗岳と東天狗岳に登り、黒百合ヒュッテに寄り道して唐沢鉱泉に戻るという、唐沢鉱泉を起点とした左回りの周遊コース。登りと下が同じコースだと面白くないと思い、ぐるりと1周できる周遊コースを選択した。
出発した段階で周囲は明るくなっていたが、陽の光がまだ入ってきていない樹林帯はとても薄暗く、また僕以外だれも登山者がいないため何となく不気味な雰囲気が漂っていた。
最初は熊鈴を鳴らしていたが、途中からスマホから音楽を鳴らして気分を紛らわせた。
景色が開ける
しばらく樹林帯を歩くと第一展望台に到着する。
ようやく視界が開け、南八ヶ岳の赤岳・中岳・阿弥陀岳が見えてくる。その奥には南アルプスの山々もうっすらと見える。
視界を進行方向に向けると、前方にペンキでマルやバツと書かれた岩肌の山が目に入った。インターネットでこのルートを調べた時に、西天狗岳の山頂直下は岩をよじ登ると書いてあったから「もしかしてこの急斜面か?」と思いつつ先を進んだ結果・・・。
不安は的中。
ただ遠くから見た時よりも斜度はそれほどなく、岩をよじ登ることには違いないが、それほど怖さを感じることはなかった。
西天狗岳登頂
そして西天狗岳登頂。標高2,646m。
西天狗岳の山頂は丘のように広く、先客が休憩中だった。
お隣の東天狗岳の山頂は結構狭そう。
東天狗岳の山頂から右に下ったところに根石岳があり、右奥に見切れた硫黄岳が見える。奥には雲海が広がっていて素晴らしい景色。
しばし休憩したのち東天狗岳へ向かって出発。
いったん下ってすぐに登り返す。
振り返るとさっきまでいた西天狗岳がもうこんなに遠くに。
西天狗岳の山頂に到着した時は、東天狗岳まで結構距離があるように見えたが、歩いてみるとあっという間だった。
東天狗岳登頂
東天狗岳登頂。標高2,640m。
西天狗岳の山頂と違い、あたりは岩がゴロゴロしていて狭い。
ただ登山客はこちらのほうが多い気がする。もしかしたら登山のルート的に西天狗岳は東天狗岳からさっと行って戻ってくるだけの場所で、僕のように周遊コースで歩く人が少ないのかもしれない。
東天狗岳の山頂からは硫黄岳の爆裂火口がよく見える。
以前に硫黄岳に登った時は、間近で見る爆裂火口に圧倒されたが、少し離れた場所から見る硫黄岳も迫力満点。
これから向かう予定の黒百合ヒュッテ方面に目を向けると、遠くに蓼科山が見えた。
しばし山頂の座りやすい岩の上に腰をかけ、持ってきたチョコパンをかじりながら景色を楽しんだ。
こういうところでビールが飲めれば最高なのだが、あいにく今回は日帰り登山。手持ちの水で我慢した。
黒百合ヒュッテへ向かう
西天狗岳、東天狗岳と無事に登頂できたため、あとは黒百合ヒュッテを経由して下山するのみ。
ここから先は僕の苦手な下り。この日は日帰り登山ということで荷物もかなり軽量であったため、それほど膝の心配はしていなかったが油断は禁物。膝痛の発生に怯えながら慎重に下っていく。
少し下ったところで天狗岳を振り返る。
天狗岳が双耳峰であることがわかる1枚。
ほどなくして樹林帯に入る。
足場は八ヶ岳の樹林帯全般に言えることだと思うけど、大きな岩がゴロゴロしていて歩きづらい箇所が結構ある。
黒百合ヒュッテ
8:40 黒百合ヒュッテに到着した。
手前が黒百合ヒュッテのテント場で、奥に見えるのが小屋。
黒百合ヒュッテは前から訪れてみたいと思っていた山小屋。
今年の冬にテントでここに泊まりたいなあと色々情報収集・計画していたが、残念ながら都合がつかなかった。季節は違うが、今回こうして天気の良いなか訪れることができて嬉しい。
オシャレな看板「Cafe Chocolate Lily」
喫茶メニューから食事メニューまで多種多様。
まだ朝の9時前でさすがに食事はないだろうなあと思いつつ「食事ってまだやってないですよね?」と聞いてみたら「大丈夫ですよ」のお返事。
というわけで小屋の中でカレーをいただくことに。
この時ビールを一緒に注文しようか激しく迷ったが「美味しいビールは帰宅後に」と自分に言い聞かせて我慢した。
下山開始
サクッと食事を済ませたあとは、スタート地点である唐沢鉱泉へ向けてひたすら下る。
大きな石がゴロゴロ転がっている不安定な足場が多く、歩きやすい区間はそれほどなかった。ひょいひょいと軽快な足さばきで歩いていたら、石の上に踏み込んだ足が滑って前方の石にスネを強打して悶絶した。荷物が軽いからといって調子に乗っていたら痛い目にあってしまった。
ひたすら歩いて歩いて。
もう間も無くゴール。
唐沢鉱泉の源泉
唐沢鉱泉の施設の直前には鉱泉の源泉が。
無色透明な鉱泉と周囲の苔がなんとも不思議な雰囲気を醸し出している。
唐沢鉱泉はこの源泉を施設に引き込んで加熱利用しているようだ。
まだ時間は昼前だったため、ゆっくり風呂に入ってから帰ろうかと考えたが、一刻も早くビールが飲みたい僕は風呂よりもビールを選んだ。
駐車場に戻るとすでに満車状態だった。
トイレ側の駐車スペースは奥に向けてゆるやかな傾斜になっているため、車を停めると車体が斜めになってしまい、車中泊には向いていない。もし前泊して天狗岳に登ろうと思うのであれば、写真右側の路肩に停めたほうが快適に眠ることができると思う。
昼に出発したこともあり、中央道の渋滞にもつかまらず、家まであっという間だった。途中のコンビニで買ったビールとつまみを帰宅後にいただき、少し早めにベッドに入った。
天狗岳は周囲の展望も素晴らしく、それほど無理をしなくても日帰り登山が可能なためオススメ。もし唐沢鉱泉から登る場合は、同じ道を行き来するピストン登山よりも、行きと帰りが異なる周遊コースがオススメ。
唐沢鉱泉の地図
唐沢鉱泉は普通車でも問題なくアクセス可能だが、街灯がなくなってきたあたりから道路脇からの鹿の飛び出しに注意が必要。今回僕が夜に唐沢鉱泉まで行く間に数頭の鹿に出会った。中には道路を横断している鹿もいるため、一般道でのスピードの出し過ぎには注意が必要かもしれない。