快適に山を登るための有効な手段のひとつが登山道具の軽量化である。
ここ数年でウルトラライト(UL)という登山道具の軽量化がひとつのスタイルとして確立し、ガレージブランド以外のマスプロメーカーも道具の軽量化に着手してきている。
そんな道具の軽量化の中で割と手軽にできる道具として人気なのがアルコールストーブだ。
もしあなたがガスバーナーをフリーズドライ製品を食べるための湯沸かしにしか使っていないのであれば、ガスバーナーをアルコールストーブに置き換えることに苦労はしないだろう。
▼目次
アルコールストーブの良い点
- 軽い
- 手入れが簡単
- 中途半端にガスが余ったガス缶からの解放
アルコールストーブの良い点はなんといっても軽いこと。
今回紹介するエバニューのアルコールストーブはチタン製なのでかなり軽量。
中に燃料を注いで燃焼させるだけだから手入れもひとんど必要ない。燃料も毎回使い切りで残るものがなにもないため、ガスバーナーを使っていた時の中途半端に余ったガス缶問題から解放される。
アルコールストーブの悪い点
- 火力が弱い
- 強風下での使用が難しい
アルコールストーブの弱点は火力。
ガスバーナーと比べるととにかく火力が弱い。さっさと水を沸騰させて食事にありつきたいという人にはあまり向いていない道具になる。また、別途「風防」を用意しておかないと、風が強いテント場などでは火がすぐに消えてしまう。
森林限界を超えた風の通り道にあるようなテント場には持っていかないほうがいいかもしれない。
エバニュー(EVERNEW) チタンアルコールストーブ
今回僕が購入したのはエバニューのチタンアルコールストーブ。
アルコールストーブと一緒に十字形に重ねて上に載せるゴトクとチタンフィルムの風防を購入した。
アルコールストーブ本体は登山用品店に行くか、ネット通販を使わないと手に入れることができないが、アルコールストーブの燃料である燃焼用アルコールは近所で手軽に入手することができる。
エバニューチタンアルコールストーブはチタン製なのでとにかく軽い。
専用のゴトクとショップオリジナルのペラペラのチタン製の風防をぜんぶ入れてもガスバーナーとガス缶よりもはるかに軽い。
エバニューのチタンアルコールストーブを実際に使ってみて
春先の八ヶ岳を2泊3日で登った時にアルコールストーブを持って行った。
湯沸かし専門と割り切って使う分には軽いしコンパクトだしなかなか良いなと感じた。
使用した場所は、木々に囲まれ風がほとんど吹かない赤岳鉱泉のテント場であったため、火力は安定していたが、これが風の強い稜線上のテント場ではどうかと言われると、同様に使えていたか少々心配になる火力だと思う。
エバニューのチタンアルコールバーナーは火力を調整したり途中で火を消すための蓋がないため、一度火を付けたら燃料が燃え尽きるまで待つしかない。何かを被せたりして強引に火を消す荒技もできなくはないが、できれば沸騰させたい水の量と必要な燃料の関係性を頭に入れておいて賢く使いたい。
沸騰までの時間はガスバーナーよりも劣るが、テント場で慌てて湯を沸かさなければならないケースはそんなにないはずだから、本格的な調理をしない山行であれば選択肢の一つとして検討してもいいアイテムだと思う。
エバニューのチタンアルコールストーブはこんな人におすすめ
- とにかく荷物を軽量化したい
- 食事はフリーズドライやカップヌードルリフィルなどお湯があれば作れるものばかり
- 食事は山小屋を積極的に利用する
とにかく荷物を軽量化したい
普段使っているバスバーナーとガス缶からアルコールストーブに変更するだけで、荷物の重量はそれなりに削れると思う。ウルトラライトやファストパッキングはグラム単位の軽量化の積み重ねだから、こういう小さな軽量化も結構重要だったりする。
食事はフリーズドライやカップヌードルリフィルなどお湯があれば作れるものばかり
山にではあまり調理はせずに基本はお湯で戻して食べるものばかり、という方は高性能なバーナーではなくアルコールストーブで十分かもしれない。お湯を沸かす時間はガスバーナーよりもかかってしまうが、中途半端に余って困るガス缶問題とはオサラバできる。
食事は山小屋を積極的に利用する
「テント泊登山だけど食事は山小屋で」という方も結構いて、山小屋のカルチャーを楽しみつつ、荷物も軽量化できるという、比較的お金に余裕のある人向けの楽しみ方である。
こういう方は、アルコールストーブを非常用として携帯しておくと良いだろう。
アルコールストーブと一緒に買ったほうがいいもの
- 風防
- アルコール燃料
- ライター
風防
アルコールストーブは火力が弱いため、強風に煽られるとすぐに消えてしまう。
山ではあらゆる場面を想定して、風除けも用意しておきたい。というか用意しておかなければならない。
僕はFREELIGHTのチタニウムフォイルを丸めてクリップで留めて使っている。
まだ売ってるかな?
アルコール燃料
登山用品店でも購入できるが、最寄りのドラッグストアで「燃焼用のアルコールありますか」と聞いてみよう。それなりの規模のお店であればだいたい販売しているはず。
ライター
100円ライターでもいいが、SOTOのライターは先端を伸ばして使用できるため、使い勝手が良い。アルコールストーブは容器内に燃料を入れてから火をつけるため、普通のライターだと着火するのが難しい。
SOTOのスライドガストーチはご覧のように火がついたまま下に向けても指に火があたることがないためアルコールストーブの着火に最適だ。また、この手のライターを持っていない方は、ガスバーナーの不調時にも必要になってくるので必ず1個は携帯しておくことをおすすめする。
まとめ
登山道具の火器類はそれ単体で比較すると、ガスバーナーだろうがアルコールストーブだろうが、重量の差は大したことがない。
ただ、道具の重量は塵も積もれば山となるの典型で、あれもこれもとバックパックに詰め込んでいるうちに、あれよあれよと重たくなってしまう。
道具の軽量化はこういった小さな積み重ねが重要で、自分の登山がどういう目的でどういう食事を摂るのか、または宿泊するテント場はどういう場所なのかを検討した上で持っていく道具を決めたほうが良いだろう。
アルコールストーブは登山用としても使えるし、コンパクトにまとめて持ち運べるから、ちょっとしたハイキングなどに「お茶セット」として持って行くのもいいかもしれない。