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世界遺産の熊野古道「小辺路」を歩く旅。
スタート地点の金剛三味院からゴール地点の熊野本宮大社までの約70kmを2泊3日で歩く小辺路縦走の旅1日目。
金剛三昧院の朝
寺の朝は早い。
6時30分より朝のお勤めに参加。
部屋に戻り朝食を食べる。
昨夜の夕食と同様に朝食もおひつにご飯が一杯入っていた。
昨日の晩御飯はおかずの種類が豊富だったので、ご飯の消費はスムーズに進んだが、朝のこのおかず類でおひつ一杯のご飯を消費するのは結構骨が折れた。朝から腹がパンパンになってしまった。
食後はいよいよ出発。
チェックアウトを済ませて熊野古道の小辺路縦走の旅が始まった。
熊野参詣道「小辺路」
朝の8時前に金剛三昧院を出発。
少し歩いたところが今回の小辺路のスタート地点。ここから約70キロの距離を2泊3日で踏破する。
少し歩くとすぐに山道に入り、しばらくは平坦な道が続いた。
小辺路は幾つかの峠を越えていく縦走路だが、標高はそれほど高くはないため、11月上旬に紅葉の見頃を迎えていた。
大滝集落
しばらく歩くと大滝集落に到着。
トイレを済ませて休憩所で休憩していたら現地の方に 「どこまで行くの?」と話しかけられた。
「今日のうちに伯母小峠の避難小屋まで行く予定です」と答えると、片方のお爺さんが以前小辺路を歩いたことがあるらしく色々と教えてくれた。
軽く休憩したのちに出発。
休憩後は大滝集落を抜けて再び山道へ。
舗装路を歩いたり山道を歩いたり・・・
11時過ぎに龍神スカイラインへ合流。
ここからしばらく舗装された道路を歩く。
再び山道に入る。
落ち葉の絨毯でふかふか。
龍神スカイラインから山道に入ったと思ったら林道に出て再び舗装路に。
再び山道に入りしばらく下ると大股バス停が見えてきた。
大股バス停
14時前。
大股バス停に到着する少し前に僕を追い越して行った女性がバス停で休憩していた。
僕が到着したところで休憩を終えて出発するところだった。僕より少し年上に見えたその女性は、装備や身なりから山登りに慣れた方のようで、話しかけてみたところ「今日は行けるところまで行ってどこかにテントを張る」と言って颯爽と去っていった。
僕が寺を出発したのが8時くらいだったのに対して、この女性は9時30分くらいだったらしい。僕よりも1時間30分も遅れて高野山を出発したのに、あっという間に追いつき追い抜いて行くとは・・・。
大股バス停で少し休憩したのちに出発。
伯母子峠の避難小屋へ
今日の目的地は伯母子峠の避難小屋。
大股バス停を出発した直後に待ち構えている「ありえない」斜度の坂道には驚かされた。
何度も立ち止まって水分補給していたら、大股バス停の自動販売機で購入したペットボトルの飲料があっという間に無くなってしまった。
テント泊装備を背負って歩いていることもあって体への負担も大きい。
15時過ぎ。
減っていく水と携帯電話圏外による位置確認ができない不安などもあり、日が暮れる前に避難小屋に到着できるのか不安になってきた。
一人旅は自分のペースで動けるから気が楽。
確かにそういう一面はあるけれど、初めて訪れた右も左も分からない山奥にポツンと取り残されていると思うと不安になってくる。
・・・とは言っても道に迷っているわけではないのだから、歩いていればいずれ到着するだろう・・・と自分に言い聞かせながら足を進める。
ようやく伯母子峠の避難小屋の分岐に到着した。
本当であれば伯母子峠の頂上まで行って山頂からの眺めを楽しむところなのだが、疲労困憊だった僕は小屋に直行することにした。
伯母子峠避難小屋
16時過ぎ。
伯母子峠の小屋に到着!
避難小屋が見えてきた時は本当に嬉しかったし安心した。
日が暮れる前に到着できて良かった。
そう思って小屋を開けて中に入ると真っ暗の中に先客が一人。僕よりもかなり経験のある登山が趣味の男性だった。挨拶して少しお話したのち、僕はスッカラカンになっていた水の調達のため、小屋から少し歩いた天然の水場まで歩いた。
重たいザックを下ろした僕の足取りはとても軽やかで水場と小屋の往復はあっという間だった。
無事に水を補給した僕は少し早い晩ご飯を頂いた。
今回の旅は人里離れた場所での移動や睡眠がメインになると考えていたため、お湯で戻すフリーズドライの食べ物を用意していた。この日の夜に僕が食べたのはフリーズドライのチャーハン。
この手の類いのモノを食べるのは初めてだったが、思っていたよりもちゃんとした味でまあ悪くはないなといった感じだった。
お湯は初投入のジェットボイル。あっという間にお湯が沸いて驚いた。
眠れぬ夜
伯母子峠の避難小屋は写真を見れば分かる通り窓がなく中には電気も無い。外から微かな光は入るものの日が暮れていない時間帯でも中はほぼ真っ暗。
食後は寝袋に入って体を休めた。
まだ寝るには早い時間だし眠れそうになかったので真っ暗な小屋で横になってぼーっとしていた。
その後はソロの男性が小屋に入ってくるなり寝袋を出してあっという間に寝てしまった。そして次にやってきた男性2名と女性1名のパーティーは荷物を小屋に置くと、外に出て夜まで宴会をしていたようだった。
僕は皆が寝静まったあともうまく眠ることができなかった。
寝袋の下に敷いた折りたたみ式のマットはそれなりに役割は果たしていたが、固い寝床のせいで真上を向いて寝ると腰が痛くなるし、クッションの効くマットの範囲は大人一人分の幅しかないため寝返りも難しい。
慣れない環境でまともに眠れることもなく、寝ては起きて時刻を確認する・・・という作業が繰り返された。
初日からこんな感じで僕は無事にゴールできるのだろうか?
そんなことを思いながら朝を待った。
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