2年前に裏銀座を縦走した時に、次は表銀座縦走かな・・・と思ってはいたものの、まとまった休みが取れずに日々は過ぎて行き・・・。
今シーズンは南アルプスの白峰三山、北アルプスの立山三山、北アルプスの前穂高岳・奥穂高岳など、機会があれば登りたい・歩きたいと思っていたプランが次々と実現していた。
今年はこういう年なのかな?と思いながら迎えた8月下旬。翌月の勤務のスケジュールを立てていたところ、9月下旬にまとまった休みを取ることができた。
どこに行くかは言わずもがな。
僕は毎日あるぺん号の予約を入れた。
天気予報が微妙で前々日まで行くかどうかを迷っていたが、それなりの天気になりそうだだったので予定通り表銀座縦走を実行することにした。
仕事が終わった連休前日の夜に東西線の竹橋駅まで移動し、23時発の毎日あるぺん号に乗り込んだ。竹橋を出発したバスは、途中2度ほどトイレ休憩を挟みながら順調に中央道を進み、翌朝の6時前くらいに中房温泉に到着した。
中房温泉から大天荘まで
準備を整え中房温泉登山口を出発。
中房温泉から山を登るのは今回で4回目。
何回も歩ていると「そろそろベンチかな?」みたいなのが感覚で分かるようになってきた。
ここでコーラを買って一息入れた。
木々の紅葉は徐々に始まっていて、ところどころ葉が色づいていた。
合戦小屋から上はすでに紅葉が始まっていた。
木々の色づきはまずまずだったが、空は朝から薄曇り・・・。
もう少し晴れてくれるといいんだけど。
燕山荘に到着
燕山荘に到着。
平日ということもあって登山者はまばら。
燕山荘からの燕岳。
この時期にここに来るのは初めて。
薄曇りの空ではあるものの、表銀座縦走の最終地点である槍ヶ岳がよく見えた。
燕山荘にバックパックをデポして、山頂方面に少し歩いてみた。
せっかくここまで来たので山頂にも登っておきたかったが、1日目は大天井岳直下にある大天荘まで行かなければならないし、こんな天気なので引き返して大天荘に向かうことにした。
未体験の縦走コースへ
燕山荘に戻ってバックパックを背負って出発。
本日の宿泊地の大天荘に向かう。
燕岳には何度も来ているが、ここから先は未体験ゾーン。
天気はイマイチだが、この稜線を見ているとワクワクしてくる。
燕山荘を出てしばらくは気持ちよく歩けていたが、徐々に疲れて足取りが重くなってきた。
そして「大下りの頭」を下りきってからの登り返しが辛かった。
目的地は見えているのに歩いても歩いてもなかなか進んだ感じがしない時間帯だった。
そして小林喜作のレリーフを経て分岐に到着。
あとは大天荘に向けて登るだけ。
しかし、なかなか足が進まない。
立ち止まって今日歩いてきた道を振り返る。
残された僅かな力を振り絞って・・・。
大天荘に到着
13:42
大天荘に到着。
テント場の受付を済ませてテントを設営。
ようやく落ち着いて周囲の景色を楽しめると思いきや、徐々に風が強くなってきて周囲はガスに包まれてしまった。
しかたなく小屋でビールを買って遅めの昼食。
その後も天候が回復する様子はなく、テントの中でただただ時間だけが過ぎていった。
夜になると風が強くなり雨が降ってきた。強風がテントを揺らし、雨がフライシートを叩き続ける悪天候。
「あの天気予報は何だったんだろう?」
そう思いながら眠れぬ夜を過ごした。
東鎌尾根を歩き槍ヶ岳の穂先へ!
翌朝になり雨はあがったものの、周囲はガスに包まれて何も見えない。
大天荘を出発
5:30
天気が良ければ大天荘からすぐ近くの大天井岳に登るつもりだったが、こんな状態なら山頂まで登っても意味がないなと思い、テントを撤収して大天荘を出発した。
大天井ヒュッテを通過。
ガスで展望のない稜線を行く
大天井ヒュッテから更に下って、そこから登り返して稜線に出た。
ビックリ平・・・何も見えなくてビックリ。
ビックリ平からしばらく稜線上を歩く。
ヒュッテ西岳が見えてきた。
当初はヒュッテ西岳のそばの西岳にも登るつもりでいたが、周囲が何も見えないのに登ってもなあ・・・と思い、大天井岳に続いて山頂をスルーした。
小屋でコーラを買って、持ってきた無印良品のバナナバウムを食べながら休憩した。
水俣乗越までの下り
ヒュッテ西岳からは、水俣乗越という分岐地点まで「あれ、もしかして下山している?」と不安になるくらい下っていく。
降りてきたハシゴを見上げた1枚。
想像していた以上に標高を落としていくため、この後にどんな登り返しが待っているのだろうか?と不安になる。
ヒュッテ西岳から1時間ほどで水俣乗越に到着。
ここから先はいよいよ表銀座の核心部である東鎌尾根。
東鎌尾根を必死に登りヒュッテ大槍へ
ヒュッテ西岳から水俣乗越までの下りで、その後の登り返しはある程度覚悟はしていたが・・・。
町をさまようゾンビのような足取りでじわじわと標高を上げていった。
ヒュッテ大槍に到着。
ここから槍ヶ岳まで約1時間くらい。ここまで来ればもう安心。
ヒュッテ大槍で醤油ラーメンを食べて休憩。
生き返った!
いざ槍の穂先へ!
ヒュッテ大槍の先に殺生ヒュッテに向かう道と槍ヶ岳山荘に向かう道の分岐がある。
殺生ヒュッテに用はないので真っすぐ槍ヶ岳に向かう。
相変わらずガスが出ていたが、近づくにつれて雲やガスの動きが活発になってきて、槍ヶ岳が少しずつ見えてきた。
槍ヶ岳山荘が見えてきた!
槍ヶ岳山荘に到着
12:19
槍ヶ岳山荘に到着。
まずはテント場の受付を済ませる。
ここまでずっとガスに包まれてよく見えなかった槍ヶ岳が姿を現している。これはもしかしたらもしかする!?
槍ヶ岳山荘のテント場は好きな場所に事由に設営できるわけではなく、受付でテントを張る場所を指定されるタイプ。先着順で次々に場所が埋まっていくため、あまり遅い時間の到着だとスペースを確保することができない。
槍ヶ岳がよく見える岩に囲まれたエクストリーム感の高いテント場はすでに埋まっていた。
僕のテント場は12番。
通路に出やすく槍ヶ岳山荘にもそれほど遠くないなかなか良い場所だった。
いざ槍の穂先へ!
テントを張って水を汲みに槍ヶ岳山荘に戻ってみると青空が出ていた。
登るなら今だなと思い、テントに戻り必要な荷物を持って、小屋でヘルメットをレンタルして槍ヶ岳の山頂に向かった。
2年前の裏銀座縦走でここに来たときは、最後の最後でガスに包まれて展望がなくなってしまうという悔しさを味わっていたので今回はそのリベンジでもある。
準備を整えて出発。
僕よりも少し前に出発していた10名くらいの団体が渋滞を起こしていた。
あまりの進まなさに周囲にピリッとした空気が流れだす。
あまりに進まないので振り返って写真を撮った。
その後は渋滞が緩和して最後のハシゴに到着。
順番に登っていく。
槍ヶ岳の山頂に到着!
槍の穂先に到着!
何も見えなかった前回のリベンジを果たすことができた。
列に並んで写真を撮ってもらい、山頂を堪能できると思いきや・・・。
先ほどのツアー客の人たちが山頂に長々と居座って山頂は大混雑・・・。
山頂の1/3くらいはこの方々で占拠されていて、せっかくの槍ヶ岳登頂に水を差された格好となってしまった。まあこれを差し引いても十分なお釣りがくるくらい素晴らしい景色だったから良かったんだけど・・・。
山頂での撮影をサッと済ませて下山を開始。
登りの時のような渋滞に巻き込まれてはたまらない。
下山後は槍ヶ岳山荘のテラスでビールを飲みながら一息入れた。
案の定、下りは例の団体客のところで渋滞していた。
槍ヶ岳周辺を散策
槍ヶ岳山荘前のテラスで休憩した後は、カメラを持って裏銀座方面がよく見える場所まで移動してタイムラプスを撮影した。
以前歩いた西鎌尾根方面。
今回歩いた表銀座も素晴らしかったけど、どちらかというと裏銀座の方が僕は好きかな。
ふたたび槍ヶ岳山荘付近に戻ってタイムラプスを撮影していたら、写真中央下あたりにブロッケンが出ていた。
タイムラプスを撮りながら周辺をウロウロしていたら陽が傾いてきた。
ヒュッテ大槍を出発した時は、燕岳に登らず大天井岳にも登らず西岳にも登らず・・・このま天気が良くならなかったら槍ヶ岳も登らずに表銀座縦走を終えてしまうかも・・・なんて考えていたが、最後は無事に槍の穂先に立つことができて良かった。
テントに戻り夕食を食べてしばらくのんびりしたあとシュラフに入って眠った。
槍ヶ岳の夜
目が覚めて外を見てみると空には無数の星が出ていた。
・・・しかし残念ながらテント場から見た星空の素晴らしさを伝えられる写真を撮ることはできなかった。色々試しながら結構な枚数を撮影したのに撮れた写真は残念なものばかり・・・。
新穂高温泉に下山
3日目の朝はまあまあの天気。
だが朝日が昇ってくる方角には雲がかかっていた。
この感じだとご来光は無理だなと思い、テントを撤収して下山することにした。
6時過ぎ。
午後の帰りのバスに間に合うように新穂高温泉に下山する。
砂利のつづら折りをひたすら下っていく。
ご来光を見ることはできなかったが、この日は天気が良く、昇ってきた朝日の暖かい光が山々を照らしていた。
天気が良いと足取りも軽い。
美しい山々を見ながら少しずつ標高を下げていく。
歩いて歩いて出発から約5時間ほどで新穂高温泉に到着。
中崎山荘で旅の汚れを落とし、食堂でラーメンとビールを頂き、休憩室でバスの出発時刻まで時間を潰した。
地獄のデスロード
14:45
新穂高温泉を出発した毎日あるぺん号のドライバーは、高速道路に乗る前からすでに渋滞情報を得ていたようで、新宿駅の到着時刻がかなり遅くなる旨を車内にアナウンスしていた。
案の定、中央自動車道は凄まじい渋滞が発生していた。
Googleの経路案内で調べてみたところ、新宿駅の到着予想は終電ギリギリ。
もしかしたら間に合わないかも・・・と新宿から横浜のタクシー料金や、始発電車で自宅に帰ってから職場に向かって間に合うのかなどを調べた。
渋滞を抜けてからは順調にバスは進み、23時くらいに新宿に到着した。
そして新宿駅からは湘南新宿ラインに乗り込み無事に自宅に帰ることができた。
まとめ
最後の最後まで気の抜けない慌ただしい旅になってしまったが、登山の辛さや楽しさが凝縮された思い出に残る山行になった。
山は様々な登山道で繋がっていて、歩けば歩くほどその繋がりを認識することができるようになってくる。登山を始めて数年が経過したが、興味の範囲は広まるばかりで飽きる気配がまったくない。
次はどこに登ろう。
日程・コースタイム
9月22日
中房温泉登山口 5:39 → 6:10 第1ベンチ 6:16 → 6:35 第2ベンチ 6:38 → 7:04 第3ベンチ 7:10 → 7:39 富士見ベンチ 7:51 → 8:13 合戦小屋 8:35 → 8:48 合戦山(合戦沢ノ頭) 8:54 → 9:20 ベンチ 9:20 → 9:30 燕山荘 9:56 → 10:05 いるか岩 10:05 → 10:33 燕山荘 10:38 → 11:08 蛙岩 11:08 → 11:24 大下りの頭 11:27 → 13:00 小林喜作レリーフ 13:00 → 13:07 槍ヶ岳・大天井岳、常念岳分岐 13:12 → 13:42 大天荘
9月23日
大天荘 5:31 → 6:00 大天井ヒュッテ 6:02 → 6:24 貧乏沢下降点 6:24 → 7:20 赤岩岳 7:21 → 7:51 ヒュッテ西岳 8:17 → 9:09 水俣乗越 9:09 → 10:46 ヒュッテ大槍 11:29 → 12:19 槍ヶ岳山荘
9月24日
槍ヶ岳山荘 5:55 → 6:45 飛騨沢千丈乗越分岐 6:47 → 7:48 槍平小屋 8:02 → 8:41 藤木レリーフ 8:41 → 8:44 滝谷避難小屋 8:44 → 9:40 白出小屋 9:40 → 10:10 穂高平小屋 10:10 → 10:35 小鍋谷ゲート 10:35 → 10:47 新穂高温泉駅
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