登山を始めて2年目の夏にテント泊で北岳に登った時に大変な思いをした。

北岳に至るまでの登山道や周囲の景色は最高だったが、その日の夜の天気が最悪だった。凄まじい暴風雨に見舞われ朝まで殆ど眠ることができない恐怖のテント泊登山になった。
機会があればリベンジしたいと思っていた北岳。
どうせリベンジするなら北岳だけでなく、間ノ岳と農鳥岳のピークを踏む「白峰三山縦走」に挑戦したいと以前から考えていた。しかし予備日を含めた3日という連続した休みが取れないまま3年が過ぎてしまった。
そんな白峰三山縦走に挑戦するチャンスがついに巡ってきた。
海の日の祝日を含めた7月15~17日の3日間の休みを確保することができた僕は、前日の夜に車で奈良田温泉駐車場へ向かった。
奈良田温泉には日付が変わる前に到着したが、第一駐車場はすでに満車になっていた。仕方なく少し先の第二駐車場に車を停めて車内で仮眠をとった。
奈良田温泉駐車場から広河原へ
翌朝。
雲は若干出ているが期待ができそうな天気。
奈良田温泉第二駐車場のバス停は第一駐車場から乗車する登山者を乗せたあとにやってくる。
5時になる前からバス停前に列ができていたので慌てて列に加わるが、やってきた切符売りの方が「座りたいなら第一駐車場まで行ったほうがいいですよ」という話をしているのが聞こえてきた。
「まだ時間もあるし念のために第一駐車場まで行っておくか」と思い、列を抜けて前日車で走った道を少し戻った。
第一駐車場まで歩いてくると、バス停の前にはすでに列ができていた。そしてしばらく待っていると出発時間の5時30分になる前に3台のバスがやってきた。
切符を購入した人から順番にバスに乗り込んでいく。
僕は3台目のバスの後部座席に座ることができた。他の席の人たちはバックパックを自分の膝の上に乗せて座っていて窮屈そうだったが、僕の座席は一番後ろの後部座席だったので、後ろの荷台にバックパックを置いておくことができた。
第一駐車場で待っていた登山者たちで3台のバスはほぼ満車状態となり、第二駐車場から乗車できた登山者はごく僅かだった。その後臨時便が出たかもしれないし、出なかったかもしれないが、いずれにしてもスタート時間は遅れてしまったはず。
広河原に到着。
3連休初日ということもあって広河原は大賑わい。
人と車の合間をするりと縫うように歩いて、広河原山荘まで移動し登山届を提出。
白峰三山縦走の旅が始まった。
いざ北岳へ!
バックパックの中身はそれなりに軽量化してきたつもりだったが、久しぶりのテント泊装備を背負っての登山は体に堪える。
トレッキングポールを使って体を持ち上げるように段差を登っていく。
白根御池小屋で休憩
8:34 白根御池小屋に到着。
ここでバックパックを下してしばし休憩をとった。
白根御池小屋では南アルプス”の”天然水が蛇口から出てくる。
南アルプスの湧水だから「南アルプスの天然水」であって、市販されている「南アルプス天然水」とは別物。(サントリーの南アルプス天然水は北杜市白州町で採水されている)
しかし美味しい天然水であることには変わりはなく、休憩中に沢山飲ませてもらった。
この日はザ・ノース・フェイスのアルパインライトパンツに同じくザ・ノース・フェイスのEndurus Hike Mid GORE-TEXをチョイス。
草すべりの急登に消耗する
休憩後はいよいよ本格的な登りに入る。
草すべりというジグザグになった急登の坂をひたすら登っていく・・・。
少し登ったところで左俣コースの雪渓が見えた。
雪渓の手前側に見える小さなアリンコのようなものはアイゼンを付けて登っている登山者である。
写真を等倍表示してみた。
こうやって見ると凄い斜面を登っていることが分かる。
転んだら下まで滑り落ちてしまいそうだ・・・。
草すべりは転んでも下まで転げ落ちる心配はなさそうだが、こちらもなかなかの急登で体力ゲージがみるみる減っていく。
10:34
草すべり分岐。
お花畑の中をジグザグにひたすら登っていく。
小太郎尾根分岐
11:10
小太郎尾根分岐に到着。
振り返ると仙丈ケ岳と甲斐駒ヶ岳の見事な山容が見える。
楽しい稜線歩き
ようやく楽しい稜線歩き。
素晴らしい景色が全方位に広がっている。
しばらくハイテンションで歩いていたが、蓄積した疲労が徐々に体に影響を及ぼしていき北岳肩ノ小屋の手前あたりでガス欠になってしまった。
北岳肩の小屋で休憩
11:53
北岳肩ノ小屋に到着。
今回は白峰三山縦走なので、この先にある北岳の山頂を経由して北岳山荘まで歩かなければならない。しかし、道中の疲労がここに到着する寸前に噴出して動けなくなってしまったので、小屋で買ったコーラを飲みつつお菓子を食べてしばらく休憩することにした。
北岳肩の小屋のテント場は大勢の登山者で賑わっていた。
休憩しながらテント場を見ていたら「もうここにテント張っちゃおうかな」という気持ちがふつふつとわいてきたが、翌日以降の行程のことを考えて思い留まった。
雲がもくもくと湧いてきた富士山を見て3年前の嫌な記憶が蘇る。
今夜は天気大丈夫だよな・・・。
コーラ休憩が功を奏したのか、体が動くようになった。
無理せずじっくり足を進めて北岳の山頂を目指す。
白峰三山 第1の山「北岳」を制覇!
13:14
北岳の山頂に到着!
3年ぶり2回目の登頂は以前よりも体力が衰えているのでは?と思ってしまうくらいヘトヘトになってしまった。
山頂でゆっくり休憩したい気持ちをぐっと抑えて先を急ぐ。
北岳山荘へ
山頂で一息入れたところで本日の宿泊地である北岳山荘に向かう。
北岳山荘は北岳に登っている途中や山頂からも見えていて、それほど離れていないと思っていたが、実際に歩いてみると想像以上に遠かった。(もしくは疲れていてそう感じたのかも)
先へ進むにつれ周囲はガスに包まれていった。
テント場につけばビールが飲める!をマントラのように唱えながら最後の力を振り絞った。
北岳山荘に到着
14:24
北岳山荘に到着。
テント場はすでに登山者が大勢到着して、テントを張る空きスペースがなかなか見つからない・・・。景色の良さそうな場所はすでに埋まっていて、空いているのは残雪や水たまりで湿っていたり、平らでない場所ばかり・・・。
オニドーム1を設営
なかなか良い場所がなかったので、少し湿っているが他よりはマシだろう・・・みたいな所にテントを設営した。
テントは昨年から愛用しているアライテントのオニドーム1。
設営しやすく室内も全室もまずまずの広さで非常に気に入っている。
ビールを飲んだらノックダウン
テント設営後に待望のビールをぐいっと飲み干したところ、気分が悪くなってしまい、飲み物も食べ物も受け付けない状態になってしまった。
本当ならここから小屋の周辺を散策したり、食事をとったりするところだが、気持ちが悪くて何もできない僕はテントの中でただただ眠った・・・。
北岳山荘で見た夜空
22時を過ぎくらいにテントから顔を出してみたところ、周辺を覆っていたガスがとれ、満点の星空が広がっていた。
これは星空撮影のチャンスだと思い、カメラと三脚を持ってテントの外に出た。そしてカメラの設定を色々いじりながら「あーでもないこーでもない」と撮影してるうちに体調が回復していることに気が付いた。
カメラをテントにしまって北岳山荘のバイオトイレで体内のイッサイガッサイを放出(吐いてはいない)したところ、体調はさらに回復し「ぐ~」と腹の虫が鳴り出した。
しかしこの時間から食事を摂るのもどうかと思いシュラフに入って再び眠りについた。
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