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白峰三山縦走登山の初日は広河原から北岳に登り、ヘロヘロになりながら北岳山荘に到着してテントでダウン。
今回は間ノ岳と農鳥岳に登り、大門沢小屋を経て奈良田まで下山する模様をお伝えする。
北岳山荘の朝
午前3時少し前に起床して朝食を準備。
2日目は北岳山荘を出発して間ノ岳と農鳥岳に登り、可能であれば奈良田まで下山・・・みたいなことを考えていた。
コースタイム的には午前4時に出発すれば日没までには下山できる計算だった。
北岳山荘から間ノ岳へ
朝食を食べ、テントを撤収し、4時過ぎに北岳山荘を出発。
夜明け前の富士山。
天気はそれほど悪くはないものの、雲が多くご来光は残念ながら拝めず。
前日はガスで何も見えなかったので、北岳をこちら側見るのは初めて。
雲海の向こうに美しいシルエットでそびえる富士山が幻想的だった。
4:57
中白根山登頂。
それにしても白峰三山の縦走路は富士山を愛でるための道と言っても過言ではないような気がする。道中ほぼずっと富士山が見えるという贅沢な登山道だ。
後ろを振り返れば昨日登った北岳(一番右)、甲斐駒ヶ岳(中央奥)、仙丈ケ岳(左)と南アルプスを代表する山々が一望することができる。
これはたまらない。
標高3,000mの稜線は伊達じゃなかった。
景色を楽しみながら歩いていたら間ノ岳山頂が見えてきた。
白峰三山 第2の山「間ノ岳」を制覇!
5:55
白峰三山の二つ目の間ノ岳(標高3,190m)の山頂に到着!
間ノ岳は白峰三山を縦走する人たち以外に北岳山荘からピストンで来ている登山者も多い。1泊2日の行程で来ている人たちは間ノ岳まで来たところで引き返すようだ。
間ノ岳山頂下の雪渓あたりから、その先のケルンの方角をズームレンズを使って撮ると、富士山をバックにした素敵な写真が撮影できる。
こんな感じに。
ズームレンズがあれば誰でも撮れるので、間ノ岳に登る機会があれば是非試してみて欲しい。
白峰三山 最後の山「農鳥岳」へ!
間ノ岳では休憩せずに、その先の農鳥小屋で休憩することにした。
間ノ岳から一旦下って農鳥小屋へ。(写真中央に見える赤い屋根)
農鳥小屋で休憩しようと思ったのは面白そうだから。
農鳥小屋で休憩
6:54
農鳥小屋に到着。
この山小屋は色んな意味で有名で、インターネットで「農鳥小屋 評判」と検索すると、エピソードがたくさん出てくる。だいたいがマナーが悪い登山者が怒られるというもので、中には昔ながらの山屋で根は優しい人だと評価している人もいる。
僕はコーラとバッジが買いたかったので、売店に立ち寄るが誰もいない・・・あれっと思い犬がワンワン鳴く方に行ってみると、小屋のおじさんとお姉さんが朝食を食べていた。
「お食事中すいませんがコーラ買えますか?」と言うとお姉さんが対応してくれた。
コーラと一緒に白峰三山のバッジを3個買ったらオマケにバッジをくれた。
その後、小屋の外に腰を掛けてコーラを飲んでいたら、おじさんが出てきて他の登山者の方と雑談していた。僕が見た感じではネットに書かれているような怖い方ではなさそうだった。
昔ながらの山屋みたいな雰囲気はあったけど。
農鳥小屋からも富士山がよく見える。
北岳周辺の山小屋はどこに泊まっても富士山がよく見えるんだなと感心した。
悪天時には手荒い歓迎を受けることにはなるのだが・・・。
農鳥小屋を出発
7:17
休憩を終えて出発。
ここから農鳥岳に登り返す。
農鳥岳に向かう途中で登山者数名が立ち止まって写真を撮っていたので、その先を見てみると登山道から離れたところにライチョウが顔を出していた。
慌ててカメラを構えたがすぐに岩の向こうに行ってしまった。
ライチョウを諦めて先へ進む。
8:12
西農鳥岳に到着。
そしてようやく農鳥岳の山頂が見えてきた。
富士山の真下に登山者の人影が見える。
あともう少し!と気合を入れたのだが・・・。
まだまだ先だった。
この景色を見ながら歩くことができるのだから、むしろ「すぐ到着しなくて良かったね」くらいの気持ちでありたいなと思いつつも体からは反対の反応が出始めていた・・・。
白峰三山 最後の山「農鳥岳」を制覇!
8:49
白峰三山最後の山、農鳥岳(3,026m)の山頂に到着!
山頂付近では朝から僕を追い抜いて行った人たちが休憩をしていた。
ここから先にある大門沢下降点からは怒涛の下り地獄が待っているため、農鳥岳山頂でしばらく休憩をとることにした。
農鳥岳山頂からは富士山がよく見える。
ここまでよく頑張って歩いてきたな・・・と自分自身を労いたいところだが、真の戦いはこれから。
20分ほど休憩をして大門沢下降点に向けて出発した。
地獄への分かれ道「大門沢下降点」
9:45
大門沢への分岐に到着。
富士山が見える極上の稜線歩きはここまで。
大門沢下降点からはゴール地点の奈良田までひたすら高度を下げる下山地獄。
僕が山でもっとも嫌う「下山」が延々と続くデス・ロード。
意を決して大門沢に下山を開始した。
道中は特筆すべき箇所はないのだが、とにかく延々と下りが続く。
足が持てば奈良田まで歩いてこの日のうちに下山してしまおうと思っていたが、大門沢小屋に到着するだいぶ前に足の筋肉(大腿四頭筋)の活動限界が来てしまい、踏ん張りがきかなくなってしまった。
登山地図のコースタイム通りに歩くことはできていたようだが、足の踏ん張りが効かなくなってしまい、生まれたての小鹿のようになってしまった・・・。
後続にどんどん追い抜かれ、途中で小学生にも追い抜かれてしまった。
途中で水も行動食も尽きてしまい、フラフラの状態で何とか大門沢小屋にたどり着くことができた。
大門沢小屋に到着
12:39
必死の形相で大門沢小屋に到着。
満身創痍だった僕は、後のことを考えるのをやめて、小屋でコーラとラーメンを注文して、胃の中に水分と糖分と塩分を流し込んだ。
ここで注文したラーメンは、よくあるインスタント麺のような味だったが、疲れ果てた僕にはこれまで食べてきたどんなラーメンよりも体に染みわたり、そして美味く感じた。
その後もコーラを買い増して飲んだり、フルーツゼリーを食べたりと、山小屋価格の商品たちを富豪のごとく買いあさる僕。
普段スーパーやコンビニでは見向きもしない商品たちにこれほど魅入されるとは思わなかった。
小屋で爆買いしたあとは、今後のことを検討した。
泊まるか下山するか
ここからゴール地点の奈良田までは、約3時間程度で下山できるので、13時30分~14時くらいに出発すれば十分間に合う。
ただ、足が全く言うことを聞かないので3時間では下山できないかもしれない。仮に奈良田まで下山することができたとしても、車に乗ったら即座に爆睡だろう。
それなら大門沢小屋で1泊したほうが体の回復も見込めるし、車のシートで寝るよりテント泊のほうが寝心地が幾分かマシだろうと考え、下山を諦めることにした。
大門沢小屋でテント泊
大門沢小屋のテント場は結構狭い。
僕が到着した時点ではまだ空きが結構あり、好きな場所に設営することができた。その後あれよあれよと登山者たちが到着し、夕方になる前にテント場は一杯になってしまった。
小屋の裏手にもテン場があるようで、遅くに到着した人たちはそちらに張るように言われていた。
テント設営後にチューハイを買ってきて飲んでみたが、昨日の北岳山荘で飲んだビールの時と同じで、疲れ切った体にはアルコールが合わないようで、美味しさを感じることができなかった。
夕方に早めの夕食を食べ、日が暮れたところで眠りについた。
夜明け前くらいからパラパラと雨が降り始めた。
こんなことなら今日のうちに頑張って下山しておけば良かった・・・と思ったが、過ぎたことをあれこれ言っても仕方がないし、そもそも歩けなくなったからここに泊まっているんだろう!と自分にツッコミを入れて目を閉じた。
下山
朝食を食べてテントの撤収を開始しようかというところで雨が上がった。
これはラッキー。急いでパッキングを済ませて出発の準備を整えた。
5:00
大門沢小屋を出発。
朝起きてテントの外に出た瞬間に察したが、足の疲労がまったく抜けていない。むしろ今のほうが酷いのではないかというくらい足(大腿四頭筋)に力が入らない。
つまり踏ん張りが効かない。
ちょっとした段差に悶絶しながら山を下る。
後続に次々と抜かれるが気にせず進む。
痛みに堪えてようやく登山口に到着。
ここからは比較的歩きやすい平坦に近い道が続いた。
7:17
奈良田ゲート。
まだ時間が早くバスも来ないということで駐車場まで歩くことに。それほど遠い距離でもないし、ここまで来ればもうゴールしたも同然である。
7:33
奈良田駐車場。
5時に大門沢小屋を出発して7時半に到着ということは2時間半くらいで戻ってこれたことになる。これだったら昨日のうちに奈良田まで下っても良かったかも・・・なんて思いつつ、無事にゴールできて一安心。
帰りに奈良田温泉で汗を流して・・・といきたいところだったが営業開始まで時間があるし、すぐにでも家に帰りたかった僕は、車で着替えて家路についた。
まとめ
今回の白峰三山縦走登山は、標高3,000mの稜線を歩きながら絶景を堪能できる素晴らしいものになった。しかしその代償も大きく、僕の体力不足が露呈した山行でもあった。
大門沢下降点から下山するまでの間はすっかり疲れてしまい「もう白峰三山縦走はないな」と思っていたのに、こうしてブログを書いていると「また行きたいなあ」という気持ちがわいてくるから不思議だ。
最後に今回の白峰三山縦走の動画をYouTubeに公開した。
漫然と撮影した動画なのでクオリティーは低いが、記事をここまでご覧になった方はぜひ再生してみてほしい。
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