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天気予報通り2日目はちゃんと晴れてくれるのだろうか?
そんなことを思いつつ翌日3時過ぎに目を覚ました僕は、眠たい目をこすりながらテントから外をのぞいてみた。
雨が上がり、空は晴れ、星空が広がっている。
これは写真に納めなくては!とテントからカメラと三脚を出してセッティングをするが、なかなかうまく星空を撮影することができない。
ああでもないこうでもないと試しながら撮影して、ようやくカメラの設定方法を思い出した頃には空は少しずつ明るくなってきていた。
出発
アルコールストーブで湯を沸かし、アルファ米の松茸ごはんとインスタントの豚汁を食べ、朝の5時に出発した。
初日は行者小屋から中岳と赤岳のピークを踏んだが、2日目は赤岳鉱泉を起点とした時計回り。
今日はテントに不要な荷物を置いて行けるためとても身軽。
硫黄岳から横岳→赤岳→中岳と歩き、体力的に余裕があれば阿弥陀岳にも登り、初日に迷い込んだ雪渓ルートではない通常の登山道で行者小屋まで下り、赤岳鉱泉に戻る計画。
前日雨が降った割には登山道はそれほど雨の影響を受けている感じはなく、残雪の個所以外は歩きづらい場所は特になかった。
傾斜もそれほど厳しいわけでもなく比較的歩きやすい登山道だった。
出発してから1時間くらいは展望のない樹林帯を歩くことになるが、赤石の頭に差し掛かると森林限界を超え、視界が一気に開ける。
右を向けばこれから歩く横岳・赤岳・中岳・阿弥陀岳が、
左を向けば北八ヶ岳方面が一望でき、更に遠くには北アルプスの山々が見える。
素晴らしい天気、素晴らしい景色。
時間はまだ朝の6時。僕以外の登山者はまだ誰もいない。
硫黄岳
本日ひとつめのピーク。
硫黄岳の山頂に到着。
硫黄岳山頂はのっぺりとした平たい山頂で、ガスで視界を遮られたら方向感覚を失ってしまいそうな感じの場所だった。
硫黄岳の見どころは山頂のすぐそばにある爆裂火口。
火山の爆発で山が吹き飛び、断崖絶壁状に切れ落ちている。
崖のすぐそばは崩れやすくなっているようで、ロープが張られて近づけないようになっていた。写真ではなかなか伝わりづらいため、このスケール感と迫力はぜひ実際に見て頂きたい。
そんな爆裂火口の岸壁にじっとして動かないイワヒバリがいた。
どの鳥もこれくらいじっとしていてくれると撮影する側からすると助かるんだけど。
横岳へ向けて出発。
写真中央にあるのが硫黄岳山荘で、そこから登った先のギザギザした場所が横岳、その奥に見えるのが赤岳。
硫黄岳から横岳へ
横岳は幾つかの小ピークの集まりの総称で、遠くからだとどこが横岳の山頂なのかよくわからない。
この辺りは足元の高山植物ばかり見ていて、あまりよく覚えていない。
鎖場が比較的多く、岩肌を縫うように歩かされたことは覚えている。
横岳の山頂に到着!
特に怖い個所もなく山頂に到着。
ここから赤岳に向かう稜線上の西側に、今見頃のツクモグサという高山植物がチラホラと生息いているとのことだった。
ツクモグサは、北海道の一部の山、北アルプスの白馬岳周辺と、八ヶ岳の横岳周辺のみに生息している個体数の少ない日本固有の高山植物で、雪解けから少しの間だけ花を咲かせる。
横岳のピークを超えてからは歩くペースを落としツクモグサを探して歩いた。
八ヶ岳のツクモグサ
発見!
本当に葉が毛でふかふかしている。
そして西側のほうに生えている。 ちょっと訪れる時間が早すぎたのかどれも葉が閉じた状態だ。
こちらもまだ咲きかけといった感じ。
ツクモグサは横岳から赤岳間の西側方面に生息しているため、朝方は陽が当らず葉が閉じた状態のものが多い。
それにしてもこのツクモグサは日陰に生えていてちょっとかわいそうだった・・・。
そしてようやく花開いたツクモグサを発見!
横岳から赤岳へ向かう最後の方でツクモグサの群生している場所があり、綺麗に咲いている個体が少しだけあった。
ツクモグサも無事に見ることができたし、ここからは再び登山モードに気持ちを切り替えて、昨日に続いて2度目の赤岳山頂へ。
赤岳へ
初日はどんよりした曇り空で、登頂の喜びもいま一つだったけれど、今日は朝から快晴。きっと気持ちの良い山頂を味わえることだろう。
横岳を振り返る。
こうやって見ると結構ハードな山に見えるけど実際はそうでもなかった。
赤岳山頂!
山頂へ向かう途中でどこからともなく雲がもくもくと発生し、山頂に到着した段階でご覧通り・・・。
どうやら今回は縁が無かったということで、早々に見切りを付けて、阿弥陀岳方面へ向けて出発。
阿弥陀岳方面へ向けて下っていく。
文三郎尾根への分岐。
分岐から文三郎尾根のマムート階段を下っていくと行者小屋へ到着する。
もしここで体力的にも時間的にも余裕がなさそうだったら文三郎尾根から行者小屋に下りるつもりだった。でもまだまだ元気だし、午前中の時間帯。
そのまま中岳を超えて阿弥陀岳に向かうことにした。
中岳
中岳に登りだしたくらいから、赤岳方面の雲に再び動きが出てきた。居なくなった途端に晴れてくるとは・・・。
昨日に続いて2度目の登頂。
阿弥陀岳へ
そして今回の八ヶ岳登山のラストを飾るのは、1日目に色々あって登ることを諦めた阿弥陀岳。今回は荷物も軽いし余力も十分、天気も良いし時間もまだ十分にある。
コースタイムも片道30分もないし、まぁ余裕でしょう。
・・・というわけでサクッと登頂!
ちょっと空が曇ってきた・・・。
行者小屋へ
しばし山頂に滞在し下山開始。
急斜面かつ脆い足場なので、落石を起こさないように慎重に下りた。
中岳のコルまで戻り、ここから行者小屋に向けて下山する。
前日は間違えて雪渓ルートに迷い込んでしまったが、今回は間違えることなく通常の登山道に入ることができた。
前日歩いたルート。
よくこんなところをトレランシューズで登ってきたな・・・。
でも今回はちゃんとした登山道を歩いて下山・・・
・・・するはずがこちらも整備がまだのようで、なかなかの悪路だった。
ルート上に邪魔な木の枝があったり、雪の斜面を歩いたり、地面がぬかるんで靴が泥だらけになったりで安心して歩ける場所があまりなかった。
行者小屋から赤岳鉱泉へ
そんなこんなで、トレランシューズを泥や雪で汚しまくってなんとか行者小屋までたどり着き、そこから赤岳鉱泉に移動して無事にテント場に帰還!
その後、テントで昼寝したり小屋で本を読んだりしているうちに夕方になり、テントで食事をとって早めに寝ることにした。
ところがテント場は男女の団体が夜遅くになってもワーキャー騒いでいて睡眠どころではなかった。赤岳鉱泉に到着した段階で時間的に結構余裕があったから、テント泊せずに下山してもよかったなと少し後悔した。
下山
最終日は下山のみ。
朝食を食べてのんびりと撤収作業に取り掛かった。
帰りは北沢ルート。
沢の底が赤茶けている。これは鉱泉の影響なのだろうか。
北沢ルートの後半は林道歩き。
ほぼコースタイム通りに登山口まで戻り、そこからもう少し歩いて車を停めてあるやまのこ村へ。
やまのこ村でこの2日間の駐車場代を支払い帰路に着いた。
初日は微妙な天気だったが、2日目は天気に恵まれ、南八ヶ岳の硫黄岳・横岳・赤岳・中岳・阿弥陀岳を楽しみながら歩くことができた。
今年に入ってテント泊装備の残雪期登山を2度ほどやってきたおかげか、少し体力がついていたのかもしれない。
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